「みや…び、ちゃ…良かっ…」
店内をぐるりと見回し、マスターのすぐ後ろにいる雅を見つけると、鷹野はひどく安心したように破顔した。
「良かっ…たぁ…居た」
駆け寄るように雅の座るソファへと近付いた鷹野は、テーブルに両手をついて、安心したように深く長く、息を吐き出す。
雅は、鷹野の姿を認めると、途端に頬を紅潮させて、泣くまいと唇を噛んだ。
「…ご…め、なさい……」
「なんで謝るの…良かった、居てくれて…」
失くしたかと思った、と、雅の 頬に指を這わす。
ぴくり、と一瞬身を引きかけた雅が、意を決したように、頬を包む鷹野の手に、指を重ねた。
「もしかして、いっぱい…泣いちゃった?」
ぎゅ、と雅が目を閉じれば、こぼれた涙は、鷹野の指に絡みつく。
止まらなくなった涙を、雅は必死で呑み込もうと、頬を包む鷹野の指を、きつく握りしめた。

