「…嫌、ですか?」
雅はおとなしい。
いつになく不安げな面持ちの鷹野を、困ったように見上げた。
「……ん。嫌」
自己嫌悪はあるのだろう。
伏し目がちに呟く鷹野は、雅の目を見ないまま、その髪を撫で、額を合わせる。
「……凱司さんも?」
「…それ訊くの反則」
雅は合わせられた額を避けるでもなく、両手で鷹野の頬に触れた。
上を向いたら、唇の触れてしまいそうな距離に動じるでもない雅に、何も言えないままの昌也と佑二が、ちらりと視線を交わす。
「鷹野さん、…どうしたの?」
ちょっと、怖い気がします。と、雅は鷹野の頬をそのまま撫でた。
額を離し、ようやく目を合わせた鷹野を覗き込み、その耳の後ろへと髪を梳き上げる雅は、困ったように下がった眉のまま、微かに笑った。
「鷹野さんが嫌なら、あたし、誰も見ません。凱司さんは…無理だけど…。目を…合わせなければ……いいですか?」
息のかかる、距離。
揺れて不安定な鷹野をなだめようと、必死なのかも知れない雅の指は、鷹野の黒い髪を掬い、その目を真っ直ぐに覗き込んだ。

