「なあ、鷹野」
雅がシャワーを使う間、珍しくぼんやりと頬杖をついた凱司が、鷹野を呼ぶ。
「……また下着ないだろ」
「あ」
「あいつ、外泊のつもりで家を出てきてるんだろうに、なんであんな軽装なんだよな」
「洗って乾かせる設備があって、脱いだまましばらく過ごす場所にいるからじゃない?」
淡々と述べる鷹野に眉をしかめて、凱司は黙り込む。
「……温泉施設とか…か?」
「なわけないだろ」
寝かせて貰えない温泉施設ってなんだよ、と。
鷹野は苦笑するけれど。
凱司は煙草に火を点けて、立て続けに吐き出してから、頭を抱えた。
「あー…やたら腹立つなあのガキ!なんの因果で俺がこんな思いしなきゃなんねんだよ…」
「や、そりゃあんたが拾ってきちゃったのが悪いんだ」
くすくすと笑う鷹野に、言い返す事も出来ないまま。
凱司はがっくりと項垂れた。

