ゆっくりと、唇が離れた時には、鷹野の目から焦りが消え、雅から、どことなくほっとしたような甘やかさが滲み出ていた。
「だっ…大丈夫!?」
「……え?」
両肩を掴む昌也を、ぼんやりと見つめ、雅は唇に指を当てた。
「あ……うん…大丈、夫」
半ば放心状態だった雅の頬に、一気に赤味が差した。
思い切り昌也から目を逸らし、立ち上がった鷹野をちらりと見上げると、そこからも視線を外した。
「一樹!! お前、なんで…!」
詰め寄る昌也に、鷹野は困ったように笑うと、雅に手を差し伸べた。
「なんで…って…好きなんだよ俺。雅ちゃんが」
ためらう雅が、手を取るのを待つつもりなのか、じっと雅の赤い頬を見つめたまま、はっきりと言う。
「…好き…ってお前…だってこの子は…っ」
凱司さんの、連れてきた子だろう?
「それでも、好きなんだよ」
ゆっくりと指先を合わせた雅の手を勢い良く掴み立たせ、満足げに笑った鷹野の腕の中に、雅もまた。
恥ずかしそうに、少し安心したように。
おとなしく収まって、いた。

