ガラスの、ドアは閉まっているが、鍵は開いていた。
「…あたし、入っていいの?」
小さな声に、三人の視線が集中した。
鷹野は少し困ったように。
佑二は呆れたように。
昌也は怪訝そうに。
鷹野は身を屈めると、耳元に口を寄せる。
「あとで、ゆっくり」
「……はい」
仕方がないのだ、と鷹野は繋いだ手を強く引いた。
こういう子だから、凱司が拾った訳で。
こういう子だから、好きにもなったんだろうと思う。
ややこしくて。
素直な癖に、自分を否定して。
自分を何か、特別汚れている存在かのように思い込んで。
多分、わかっているのに。
恋しちゃいけない、なんて自分で決めた思い込みを頑なに崩そうとはしない。
わかっているだろうに。
そんなの、意味がないって事。
毎日キスをする自分。
それ以上をしたらしい、凱司。
どちらにも、今日のように過呼吸を起こして倒れるなんて事はないのだから。
ゆっくり、話し合おう。
凱司の居ない間に。

