新しいコーヒーの袋から、挽いてある豆の粉を移し替えていた凱司が、キッチンバサミを手に取った。


「タグ取れ。ほらハサミ」

「あ、はい」


小走りに近付いた雅に、ハサミを手渡しながら、苦笑した。


「多分、…悪かねぇよ?」

多少哀れまれた気がしないこともないけれど、雅は。

照れ臭そうに笑う。


「ありがとう」


いそいそとタグを外し、着ていたものに手をかけて。

はたと、手を止めた。



「良かった、気が付いて。また凱司に怒られるとこだったね」

「そこで脱ぐとかあり得ねぇ」


疲れたように呟いた凱司が。
シャワー浴びてから、着替えてこい、と。

顎でドアを、指した。