「……待っ…!!」
我に、返った。
突き放す為に甘やかして来た訳じゃない。
何がどうなっても好きだと、言ったばかりなのに。
フラップショルダーを押さえながら、逃げるように走り出した雅の姿を、必死に追った。
「うわっ!?」
雅が、誰かにぶつかりかけた。
赤い、髪。
その横を歩いていた佑二が、とっさに雅の腕を掴んだ。
「やっ……!!」
「……あんた、なんでいつも、そんな顔してんの」
珍しく暴れる雅の腕を離さずに、佑二は呆れたように顔を覗き込んだ。
背けるように顔を伏せた雅の体を鷹野は、背後から引ったくるように抱きかかえると、佑二も昌也も目に入らないのか、きつく閉じ込めた。
「か…、一樹?」
「あー、修羅場だね兄貴。帰る?待つ?」
勝手に帰ってまた呼ばれたんじゃ面倒だから、見学してようか。
佑二はそう呟くと、呆然と見つめる昌也を引っ張り、三歩離れてから、壁際に座り込んだ。

