「そばにいなくて、ごめんね」
電車での帰り道。
駅を出て、自宅までの道すがら、鷹野は雅の手を取った。
「え?」
雅は、顔を明るくしない。
笑顔を浮かべるが、笑ってはいない。
「もう、大丈夫?」
繋いだ手は、ひどく頼りなげに柔らかく、鷹野が離せばそのまま下に落ちてしまいそうだ。
「はい、大丈夫…です」
何か、逆行していくようなもどかしさに、鷹野は繋いだ手を強く握る。
反応のない、雅の手。
「…俺、何がどうなっても、雅ちゃん好きだよ」
ぴく、と手の中で、雅の指が動いた。
俯いた雅とゆっくり歩きながら、鷹野は不意に手を離し、何も言わない雅の肩を抱き寄せた。

