由紀、友典、鷹野。
覗き込まれてシャープペンシルの動きを止めた雅は、ひどく居たたまれない様子で、ちらっと目を上げた。
「…あ、の」
「ほら、あと少し」
テーブルに両肘をついて、楽しそうにプリントを覗き込む鷹野は、友典の和英辞典をパラパラとめくり、ふと顔を上げた。
「友、今夜、うちのバンドの奴泊めるよ」
お前も泊まるか?
2人で凱司不在中を過ごすことに、はっきりと不安を示していた事を忘れてはいなかったのか、鷹野はちらりと友典を見やって、仕方無さそうに唇の端を少し上げた。
「……いや、いい」
「なんで」
「………」
鷹野と雅の密着度合いは、友典の神経をすり減らす。
だが凱司が、それでいいと言うのだ。
父も、友典の立場は“友達”ではないのだから、行き過ぎた行動は慎むように、と。
雅のキスを、二度見た。
柳井と、鷹野。
雅がむしろ嬉しそうに受け入れる鷹野は、きっと彼女に傷を付けたりしない。
自分が心配した所で、どうにも…ならない。
友典は、不機嫌そうに目を閉じた。

