たぶん恋、きっと愛



「一旦、うちに帰りましょう」


穏やかに、いつもと変わらない笑顔を浮かべた由紀に、ようやく雅は微笑んだ。


柳井の家に、行かなければならないだろう。

怪我をさせ、歯を折るほどに殴りつけたのは確かなのだから。




「…章介さんに連絡は、しましたか?」

「1時間ほど前に」


よほど緊張したのだろう。友典の仏頂面にも、どこか安堵の色が浮かび、その返事に由紀も安心した。



「歩けますか?」


由紀の問い掛けに、雅は頷く。

さらりと差し出した友典の手を取り、立ち上がった雅を見つめ、由紀はころころと、楽しそうに笑った。



「章介さんに、本当に似てきたわね」

あの人は、今でも私にそうやって手を貸してくれるのよ、と、嬉しそうに頬を染めた由紀を、雅は僅かに羨ましいような表情で、見つめた。



「大丈夫。雅さんにも、そういう人が必ず。今だってそういう人が居て、笑って過ごせていると聞いてますよ?」


時間は経つんです。

焦らずとも、きっと傷は痛まなくなります。
治らなくても、大丈夫なんですよ。


そう微笑む由紀の言うことを理解出来なかったのか、雅は曖昧に笑うと、静かに俯いた。