「いっ…てえぇぇ」
取り上げた吸い差し。
火の付いたままテーブルに転がったのを、凱司は拾い上げ押し消すと、心底厭そうな顔で、触れてはいない唇を大仰にぬぐった。
「やだ、なんで…何したの!?」
笑ってはいるものの、右足の上の方をさする鷹野の手を、払い除けるように避け、雅は必死にこする。
「痛いの!? 何されました!? ちょ…脱いでください…!」
青くならんばかりの雅は、凱司に背を向け、そのまま鷹野のベルトに手をかけた。
「待って待って雅ちゃん、後ろ後ろ!」
意外にも、ものすごい早さで脱がされかかっている鷹野が、雅の後ろの凱司を見て、更に笑う。
「雅!! 簡単に脱がそうとすんな馬鹿!」
「だって凱司さん何したの!?」
痛がってるじゃないですか!と食って掛かる雅が、再び鷹野に向き直り、指をかける。
「駄ー目ーだっ!!」
「足を見るんです!」
肩を掴まれ、体を反転させられた雅は、必死に抵抗する。
「怪我してたらどうすんですかぁ!!」
「してねぇよ!いいから、脱がそうとすんなっ!!」
凱司は、腹を抱えて笑い転げる鷹野を睨み付け、凱司を責めるように睨む雅を、睨み返した。

