「やっ…あの、何を言って…」
「抱かれてくれるな、って言ってみたんだ」
今度はうつ伏せに突っ伏した凱司が、くぐもった声で言う。
「抱…かれるとか…無…」
「……言ってみただけだ」
「な…無いですもん!」
やけにきっぱり言い切ったが、凱司は片身を起こして、肘を付くと。
雅の赤くなった顔を睨むように、見つめた。
「……無い…なら、いい」
「…鷹野さんそんなこと…しないですもん」
ああ。
そんな訳あるか。
「余計な事言った。怒るな」
今返したばかりのプラチナのネックレス。
今できる、最大限の譲歩。
あんなに、誰かに執着する鷹野を見たことがないから。
あんなに、一途に想う鷹野を、見たことがないから。
雅の首に、プラチナを。
あいつは、すぐに気付く筈だ。
どう受け取り、どう動く?
せめて。
「俺が付けるから、貸せ」
大事そうに手に握るプラチナを、指に引っかけた。

