「雅、来い」
滞りなく帰宅した2人は、手土産として持っていった件のプリンを、自宅用にも買っていた。
個数は、例によって、2つ。
それを冷蔵庫にしまうと、凱司は自室に雅を呼んだ。
スーツのジャケットを脱ぎ、ネクタイを抜く凱司の後ろを素直についてくる雅は。
先日凱司が何をしたのか忘れているかのような無防備さで、本気で凱司を悩ませた。
「明日は、宇田川も俺と一緒だからな。何かあったら、ちゃんと友典に頼れ」
いつもの、袖のない黒いインナーを一枚手に取り、着ないままベッドに放り投げた。
「雅?」
「…あ、はい」
「…疲れたのか?」
ドアを閉めて、いつものアザラシのぬいぐるみに手を伸ばした雅は、ベッドに乗ることはなく、アザラシを抱え、寄りかかるように床に座り込んで凱司を見上げていた。
「なんか、ちょっと怖かったです」
「アレは…宇田川の背負ってる鯉に言ったようなもんだ」
「…鯉に」
ふと目を上げた雅が、解るような解らないような、複雑な色を浮かべて首を傾げた。

