「要は…嫌だった、のか」


一通りの流れを把握した凱司は、ようやく煙草に火をつけた。



「だってね“あたしが”振って“あたしが”友典さんと一緒にいるのに、どうして友典さんが殴られるの?」

付き合ってる事に…しちゃったあたしが、悪いのに。



凱司は、面倒臭そうに煙を吐き出すと、ちらりと隣で小さく膝を抱える雅を見た。



「…やっぱり行かなきゃ良かったなあ…」

友典さんだって、自分の好きなことに時間使えたのにね。

柳井先輩だって…優しいひとなのに。




「…お前、どうしたい?」

「え?」


「この先、何を望む?」

どう生きたい
どうなりたい

何が欲しくて、何が要らない?



真っ直ぐに、射抜くような凱司の目は、いつも強い。

雅はいつでも、吸い込まれるように、見つめるばかり。



「あたし、は…」



濡れた綺麗な金髪。

青みがかった、灰色の目。

薄墨色の、蛇。



この先?

あたしは、どうしたい?