凱司がバスタオルを腰に巻き、濡れた髪をすっかり後ろに流した状態で出てきて初めて、雅は目を逸らした。



「っ…髪上げると怖いですね」

「……失礼な奴だな」


急き立てるように雅を立たせ、キッチンを素通り。

煙草を手に取ると、そのままソファーにまで、進んだ。



「灰皿」

「はい」


バスタオルのまま座った凱司は。
朝、鷹野が結い上げたままの髪型でいる雅を手招いた。

言われた通りに、白い陶器の灰皿を手にした雅は、刺青も露な凱司の正面の床に、ぺたりと座る。



「…鷹野と出掛けた後の事を順番どおり箇条書きで」


「箇条書きで!? ええっと…」



ライブハウス行きました。
佑二さんが居て。
鷹野さん来てくれて。

柳井先輩怒ってて。
だから…

友典さんが殴られた。



「……かな?」

あ、あと佑二さんにチョコレート貰いました。




「…ああ、悪かった。何となくしかわかんねぇわ。質問するから、答えろ」


眉を寄せた凱司が、こっち座れ、と隣を指した。

雅は素直に移動すると、ソファーの上で膝を抱えた。