ほどなくして戻った鷹野は一瞬雅を見つめ、まず凱司を睨み付けた。
わざと目を合わせずに煙草を灰皿に押し付ける凱司から、佑二に、昌也に、視線を移動させる。
「あー、いや…こんな酔ってるとか……思わなくて」
昌也が困り果てた顔で、ごにょごにょ言う、その膝に。
「なに飲んだ」
「…えぇっと……とりあえず、ビール?それから……女の子だから?柑橘類好きかなぁ…と」
腰に抱きつくように。
上半身をすっかり預けて、すやすやと眠る雅。
「………凱司」
「……んだよ」
「死ね」
「………」
何とも言い難い、居心地の悪さ。
それは膝に眠る少女のせい。
ただ隣に座っていた、というだけの理由で膝が強制貸し出しされただけなのに。
一瞬、射殺されそうな目をされた。
鷹野一樹が、目からレーザービーム出るようなら、絶対いま死んだ…と、昌也は嫌な汗を感じた。
助けを求めるように凱司を見れば。
確実にこちらを見ていたであろうに、ふぃ、と。
気まずそうな苦笑にも似た表情で。
目を逸らされた。

