たぶん恋、きっと愛



「そうだ。息吹看ててくれたの友典だってな。悪かったな、ありがとう」


階段を上りながら、思い出したように振り返って笑う鷹野一樹には。

息吹に似てはいるものの、あの壊れた感じは微塵もないように、見える。



ようやく外に出た鷹野は、再び男子高校生に取り囲まれた。

今日はありがとうございました、と頭を下げたギタリストに、にこりと、笑顔を見せる。



「俺も、楽しかった。ありがとな」

ぐるりと見回しても、柳井のいたバンドメンバーは居るけれど、柳井自身はいなかった。



「あれ、柳井先輩は怪我してなかった?結構思い切り殴った気がするけど」

大丈夫かなあ、と呟いた鷹野の背後で、友典は雅を捜していた。


佑二も、見当たらない。



「宇田川先輩、須藤なら…そこの向こうにいますよ」


ライブハウスと、コンビニとの隙間を指差した田鹿は、ひどく困惑した顔で。

隙間と、友典と、鷹野とを順に見比べた。