「とにかく、駄目。月曜日は雅ちゃんと線香花火する約束してるし」
「…線香、花火?」
「火曜日も凱司いなかったら、風呂一緒に入るし」
「……」
「水曜日もいなかったら一緒に寝るし」
「…………」
「だから、駄目だよ」
冗談のようで、どこまでも本気にも思える。
睨み付けるように見据えれば、鷹野は、どちらとも取れるような、からかうような笑みを、浮かべていた。
「さてと。いつまでも佑二に預けておいたら、またマーキングされるからな」
行くよ護衛。
と、あっさり踵を返した鷹野は、慣れた様子で従業員に手を挙げると、自分のギターケースを肩に掛けた。
「…甘いよなあ、友典は。外にはまだ柳井先輩いるだろうに、こんなとこで俺にあっさり引っ掛かるなんて」
「……っ」
「お前、全然、宇田川章介になれる気がしない」
散々、愉しそうに絡んでおきながら、突き落とすように言い放つ鷹野に軽く殺意が芽生えるが、確かにそうだ、と、友典は俯いた。

