「背ぇ伸びたなぁ、友典」
改めて一歩下がって、まじまじと全身を見た鷹野は、ようやく雅に笑みを見せた。
「頼りになる“彼氏”で良かったね?」
「…でも……ごめんなさい…」
友典の顔を見つめ、そっと指を伸ばした雅が、目を揺らした。
「違うよ、雅ちゃん」
鷹野が、目線の高さを雅に合わせ、諭すように声を落とした。
「“ごめんなさい”じゃなくて“ありがとう”だ」
大した怪我しなくて良かった、と、再び友典の頭を撫でた鷹野は、途端、振り払われたその手に苦笑しながら雅を見ていた。
雅は、唇に指を当て、しばらく友典と鷹野を見比べていたけれど、ふいに、友典のシャツを控えめにつまんだ。
「…ありがとう」
友典の胸に、俯いた額が当たる位に体を寄せ、小さく言った雅に。
友典は硬直し、鷹野は満足気に、笑った。

