あまり、鷹野には似合っていない気がする音楽は、指使いの細かいリードギターの緻密な歪みに、形を変えた。
ドラムスとベースの作るリズムの流れから、僅かに飛び出しては戻って行く感覚は、友典の耳で聴いていても、一種の恍惚感がある。
そして鷹野の、声。
所々でボーカルに絡んでは、声を合わせていく彼は、予定にあるのか無いのか疑わしいコーラスを交えては、ボーカルを強引に引き立てる。
雅が夢中で見つめるのも無理はない、と、友典は、今度はもう一人のギタリストに、次はお前が合わせて来いとばかりに耳打ちする鷹野を見つめていた。
友典から見ても、鷹野一樹は、綺麗な男だった。
うちに、夜中に運び込まれた血だらけの息吹に、顔立ちはそっくりであるのに、全てが違う気がする。
華やかで、妖艶。
艶やかで、危険。
そう、絶対に危険だ。
特に、いま隅の方で目を輝かせているあの少女と、凱司の関係にとっては。

