たぶん恋、きっと愛



雅が嬉しそうに指差したステージを見れば、さっきの、前髪の長い奴が、いた。

つまらなそうにも見える動きで、ベースギターを弾いているのを見ると、やたら腹が立つ。




『あの子の彼氏役だか子守役だか知らないけど、あんな表情させるなら、辞めたら?』




鷹野を待つ間に、田鹿と喋る雅を置いて、隣のコンビニに入った時。

何故かついてきた佑二がそう言ったのが頭を離れない。




『凱司さんの、友達だか舎弟だか親戚だか知らないけどさ、あんな顔させてたら、怒られると思うけど』


そう続けた佑二に、言い返せる言葉はなかった。


別に、いいんだけどさ、と、そっぽを向いたまま、また烏龍茶を買った佑二は、友典よりも低い背丈そのままに、下からきつい視線を叩きつけた。




『…腹立つんだよね』




「一方的に…言いたい事言いやがって」

呟いた自分の声すら認識できなくて、友典は、いつの間にか隅に移動している雅を、目で追った。