鷹野は、ケースに入れた黒いギターを背負って、てくてくと。
直線の先で、たむろする人の山に、眉をひそめた。
「…子供ばっかりだ」
やっぱり、と鷹野はひとりで苦笑した。
雅のクラスメイトのバンドと、先輩のバンド、あとは佑二が助っ人で入った大学生と。
前に一緒に演ったことのあるところが2つ、と電話で聞いた時に、圧倒的に学生が多いだろうとは思った。
確かにそう思ったけれど。
たむろする、雅を含む集団は明らかにおおはしゃぎで、こちらに手を振っている。
もちろん雅と、隣に立つ友典らしき男は静かだが。
これは想定外だ。
知らない曲だったらどうしよう。
一旦切った佑二の電話。
外に出てから思い出して掛け直した。
傍にいる友典が一応雅の彼氏だから、と伝えれば、あっさりと。
“手遅れ。今めっちゃ挑発しちゃった”と、不穏な事を言ってきた。
一緒に住んでるとか、他には言うな、と言えば。
“ああ、それは大丈夫だと思う。多分”と。
何とも心許ない。
鷹野は、ギターを背負い直し、一体何弾かされるんだろ、と少し歩く速度を上げた。

