「あ、須藤~、…と宇田川先輩~ごめん~……」
「え、なに…どうしたの?」
一歩も二歩も後ろで、友典は止まる。
雅と、クラスメイトだ。
あまり張り付く事もない。
何故か友典の隣に座り込んだ佑二に、怪訝そうな目を向けながら、友典は、会話に耳をそばだてた。
「…熱が」
「え!?」
いきなり田鹿の両頬を、歪むほどに両手で挟んだ雅に驚き、友典の肩が、ぴくりと上がる。
あーあー、ほんと可愛いのになあ、と気だるそうに呟く佑二の苦笑が、やたら耳につく。
「お…れじゃなひから…はなひて?」
「ああ!! ごめんなさい!」
慌てて手を離し、後ろでしっかり組んでから、雅は改めて、田鹿の顔を覗き込んだ。
「誰が、熱?」
「うちのリードの奴~。ほら、4組の」
全く思い出せないのか、雅は首を傾けたまま、友典を振り返った。
友典も無言で、首を横に振る。
「弾ける奴が他にいなくてっ…だから今日はどうしよう」
練習してた曲、全部ツインだから、できないんだ。と、更にしょげる田鹿に、雅は視線を戻し、困ったように自分の唇に、指を当てた。

