「そんなことないですよ? 今日は元気です」
にこり、と笑顔を作る雅を、まあいいけどさ、と撫で回した佑二は、ちらりと友典を見た、気がした。
いかんせん、長すぎる前髪で顔が見えない佑二に、無言で責められた気がする。
友典は黙ってその目の辺りを睨むでもなく、見つめた。
「それにしても、ずいぶん切ったね、前髪。一樹くん?」
「はい」
「腕のいい専属美容師がいて良かったねぇ。ああ…怪我は、大丈夫そうなの?」
思い出したように付け加えた佑二に、雅は頷いた。
「傷、残っちゃうみたいだけど、もう痛くないって」
「そう、良かったね。あ、あれあんたの友達じゃね?」
佑二の指すライブハウスのドアから、確かに田鹿が、しょんぼりと肩を落として出てきた所だった。
「…田鹿くんだ。どうしたのかな…珍しく元気ない」
振り返り、小走りに田鹿に駆け寄る雅に。
友典は僅かに佑二に頭を下げると、後を追った。
「……なんか可愛いのが増えたねぇ」
買ったばかりの烏龍茶のペットボトルに口を付けながら、佑二は呟くともなく呟き、ゆっくりと同じ方へ向かった。

