「…………」
本気で、言っている?
こんな、可笑しな事を?
「だから、ね、友典さんが心配するような事って、ないです」
凱司さんの彼女なのに、って思ったんでしょう? と。
俯いたままに淡々と喋る雅が、急にひどく小さく見えた。
「あたしは、ただの家政婦…じゃなかった、メイドだから。…ちょっと、甘えすぎました。今度から気を付けます」
今日も、鷹野さんのお休み、潰させちゃったし、と、友典が心底慌てるほどに落ち込んだ雅は、また、黙り込んでしまった。
「………」
疑問が、ある。
これは、訊かなければ解らない疑問。
「…雅さんの…気持ちは……どうなってるんですか? 自分の感情は、どこに置いてきた?」
「訊かないでください」
「………大事な事です」
「そんなことありません」
そんなことない訳あるか、と、頑なに俯く雅に苛々した。
友典は。
父に、あのお嬢さんは難しいですよ、と言われた意味が、少し理解出来たような気がした。

