「…いえ…後にします」
「えぇ?」
結局、上手く訊けそうもなくて。
何も行く途中で訊いて、万が一泣かすような事になっても、と理由をこじつけ口をつぐんだ友典に、雅は唇に指を当てて考え込んだ。
駅を出て、人を避けずとも歩けるくらいになるまで、雅は無言だった。
怒らせてしまったのか、悲しませてしまったのか、それすら友典にはわからない。
どうすることも出来ずに、ただ時折、様子を見ながら隣を歩く。
わかっているのは、自分の動揺のせいで、雅が距離を置いた事実だけ。
「…友典さん」
「………は」
「あたし、凱司さんのものですけど、凱司さんの彼女ではないですよ?」
ぴく、と友典は眉を寄せる。
この短時間に、どれだけの事を探り、考えたのか、正直怖い気すら、した。
「鷹野さんの彼女でも、ないです」
ようやくこちらを見た雅は、申し訳なさそうに、目を揺らし、きっと、さっきの鷹野さんのキス、見てたんですよね? と。
小さく呟き、俯いた。

