「帰りは友典と一緒?」
「はい、多分」
手を繋いでもせっかく平気になったのに、車ではそうもいかずに。
鷹野は、次は電車で遊びに行こうと思った。
一旦帰ってから、雅の髪をほどいて、セットしなおすつもりだったのだが、思いの外、時間がない。
少しカフェで時間を過ごしすぎたかも知れない。
職場から、次に見送りの従業員と客が現れる前に、マスターが。
夕陽に焼けてしまうから、とブラインドを下ろしてくれたのが、落ち着けた理由だ。
きっと、わかっていたに違いない。
何から雅の目を逸らしたかったのか。
友典と待ち合わせている駅に着いたのは、ぴったり5時半になった時だった。
鷹野は車を降り、雅の髪を直してやる。
まだまだ、外は明るい。
「じゃあ、また後で」
「はい、ありがとう。少し休んでくださいね」
にこりと笑った雅に、手を伸ばして、肩を引き寄せた。
ちゅ、と音を立てて、額にキスをする。
「ちょ…鷹野さん、人に誤解されちゃいます」
「え、なにが誤解?」
もう一度、音を立てた。
今度は、目尻に。
珍しく恥ずかしそうに身を引いた雅を再び引き寄せ、抗議しようと顔を上げたところで。
唇に、軽く触れさせた。

