たぶん恋、きっと愛



「俺も昼頃出かけるからな。雅、あんま遅くなるなよ。鷹野は夕方一緒に行かないのか?」


「だって“柳井先輩”いるんだってよ?」

「…ああ…アイツいるのか」


確かに可哀想だったからなあ、と凱司は雅をチラリと見やり、小さく息を吐いた。


こんなに至近距離で唇に触れられても、さほどの緊張は見せていない。

何かと至近距離でものをこなす鷹野の、日々の努力が実っているのか。

鷹野は事あるごとに額にキスをする。


その距離に、その行動に慣れたのか。

雅の動揺も、ここ最近薄れている。



「鷹野さん指、綺麗ですよね」


パレットを閉める鷹野の手を見つめた雅は、そのまま指を伸ばした。



ああ、また始まった。


「そう?」


鷹野も動じない。
わざとなのか、素なのか、謙遜もしない。

そういえば、自分を含め、周りに謙遜するような人間が居ないな、などと凱司が思っているうちに、雅が指の間をなぞりだす。



「雅ちゃんも綺麗だよ?」


口に含まんばかりに雅の指ごと引き寄せた鷹野に、思わず手元の煙草の箱を投げ付けた。