「…おい、短いだろそれ」
黙って見ていた凱司が、思わず口を挟んだ。
シャキン、と音は鳴る。
「大丈夫だよ。雅ちゃんの顔立ちなら。絶対可愛い」
「…ますますガキっぽく…」
「ならないならない。雅ちゃん目が子供じゃないから」
「えっ」
「ああ、また口入る」
人差し指を雅の唇に押し当て黙らせると。
鷹野は片手で、切ったばかりの前髪をほぐして、揺らした。
留めていたピンを外し、丁寧にブラシを掛けると、雅の髪を高く1つに結い上げる。
「凱、リボン取って」
細い、ベルベットのリボン。
結い上げた箇所に端を挟んだ。
「雅ちゃん、顔、フサフサするよー」
今度は無言で頷いた雅の顔から、細かい髪を払い落とし、やっぱり唇についたいくつかを、顔を寄せ、指先で取り除いた。
「目、開けていいよ」
「…ち…っ…近いですね」
わざとなのだろう、下から覗き込むように笑う鷹野は、凱司から見ても、とても綺麗な男だった。

