「ああそうか、友典一緒なんだっけね。迎えに来るの?」
翌日の土曜は、よく晴れていた。
雅の英作文は終わっていない。
「駅で待っててくれるって」
「そう。何時?」
「5時半」
朝から雅を座らせ、髪を弄る鷹野は、細身のハサミを手に取った。
「前髪、切ってもいい?」
「うん」
覗き込むように雅の前髪を引っ張り、指先で捩る。
「目、一応閉じてて」
「はい」
シャキン、と金属がすれ違う音が、綺麗だと思った。
時折、額に触れる指先と、鼻先を掠めて落ちる髪筋がくすぐったい。
シャキ、シャキン、と、音は響く。
目を閉じていても、すぐ傍に鷹野の体温がある事を感じる。
「すごく短くしていい?」
「…可愛いなら」
「可愛いよ。あ、ごめん、口に髪入った」
喋らせた拍子に、舞い落ちた細い髪が唇の端にくっついた。
「ちょっと口開けて」
鷹野の指先が、わずかに開いた雅の唇をなぞり、そっと摘まむように、髪を取り除いた。

