たぶん恋、きっと愛



…これか。
と、友典は表情を強張らせた。

父にしつこいほどに言い含められた、雅の、癖。

ふいに触れてくる、癖。

決して間違わないように、と。


言い含められていて尚、どきりとした。



「…………」

「あ」


慌てて手を引いた雅は、誤魔化すように後ろで手を組んだ。


「…い…意外にふわふわしてたから…ごめんなさい…」


と、目を逸らした雅の首筋に、ちらりと傷のような赤さが覗いた気がして、友典は眉をひそめた。



「…怪我?」

「え?」


友典が自分の首を指す。

覗き込む訳にも行かないような、微妙な場所。

首を真っ直ぐにしてしまえば、もう見えない。



「…あ、いえ……大丈夫」


なんとも言えない、困った目と、真っ赤に染まった顔とに、友典は、はっと目を逸らし、慌てた。



「すっ…みません……その…キスマー……ク……にしたら赤すぎるかと思っ…」


しどろもどろに赤くなった友典と、真っ赤に俯く雅とが、互いに気まずげに、黙り込んだ。