たぶん恋、きっと愛



「いいんですか?」


加奈子なりに、与えられたヒントで考えた筋は。

つまるところ友典の都合がつかずに一緒に行かれないから、雅も行かせて貰えない。

これだとばかり思っていた。



「……いくら」


苛ついた声に、我に返った加奈子は、1枚1000円!と、叫ぶように答えた。

無言で制服のポケットから財布を出した友典が、千円札を引き出しかけ、ふと加奈子の茫然とした目を見つめる。



「…………2枚、あんの?」

「あっ…ありますあります!」



雅が、わざわざ凱司に許可を求めたんだとすれば、きっと行きたいものだったのだろう。

父は、雅の交友を妨げてはいけないと、言った。

行かない、と判断したものであろうが、本当は行きたかったに違いないし、この目の前の下級生が文句を言いたくなるほどに、雅にとって、自分の存在が大きな妨げになっていたのだろう。


交友は、妨げてはいけない。
けれど、把握しておくべしと。