たぶん恋、きっと愛



「…明日?」

「そう、昨日、やっぱり行かないってチケット返されました」



加奈子がポケットから出したチケットを手にし、友典は眉間にしわを寄せた。


顎に指を当て、思案する姿は父にそっくりだが、今はそれに気がついて笑う雅は居ない。



「もう…残って…?」


きっと、昨日、うちの教室に来る前だ、と思った。

飛び交う噂で、きっと行けばまた、余計な勘繰りをされるのが気になったに違いない。



「…あと、一枚」

「え?」

「ないなら……これだけでも」


いくら? とチケットを裏返した友典は、怪訝そうに黙り込んだ加奈子を、覗き込んだ。