たぶん恋、きっと愛



あわただしく制服を着込んだ友典に、何かを話し掛けながら学校への道を歩く雅と友典は。

遠目で見れば、普通のカップルに見えた。


後ろ姿を見送った凱司は、ジーンズのポケットに親指だけを突っ込み、宇田川を振り返る。



「お前でも寝過ごすんだな」

「すみません、あれから親子会議でした」

今後、連れ歩く事も増えると思いますので、よろしくお願いします、と目を伏せた宇田川に、凱司も小さくため息をついた。



「…まだ、決めるなよ」

「ええ」



出来れば、消えない紋様など、無い方がいい。

友典には、どれだけ世知辛くても“普通”の生き方をして欲しい。

特に、若いうちは。



「あんなに寝起きがズタボロだとは思わなかったけどな」


思い出したように、くつくつと笑う凱司に、宇田川もまた、あれは小さな頃から朝が弱くて、と苦笑した。