「…ついて行こうか?」


加奈子の声も、視線も、真面目なものだった。



「ありがと…でも大丈夫」

「……雅あんた、柳井先輩の時にも思ったけど…少しズレてんだからちゃんと人に甘えた方がいいよ!?」


大声ではないが、静かな教室には、充分聞こえるような声で言う加奈子に、数人が苦笑を浮かべて小さく頷き、数人が、うるさいとばかりに冷たい目を向けた。


「別に、怖い人じゃないから、ほんと大丈夫」


ようやく少し笑った雅を見つめ、加奈子は大袈裟にため息をついた。


「要するに、ちょっと違うんだろうけど、付き合ってるっていうような認識でいれば、いいのよね?」


声を落とした加奈子を、まじまじと見つめた。



カーネーションの茎を、切り落とす。

可哀想だと思ったのは、最初の1ヶ月だけだった。
そうしないと、ブーケは造れない。

きっと、友典さんの事も、そうなのかも知れない、と雅はガクを取り除きながら、そう思った。