たぶん恋、きっと愛



「やっぱあの人怖ぇよ~…須藤どうなってんだよ~」


「ほんとかどうか解らないけど宇田川先輩、ヤクザと繋がりがあるって噂だよ…? あんた、…何したの?」



昨日は宇田川先輩いたから聞けなかったけど、と囁く加奈子に、雅の目が泳ぐ。


「……多分……凱司さんの事だと…思う。見た目怖いから…」

って言うか、繋がりもなにも、宇田川家がそうな訳で…とは言えない。

凱司がそうだとも、言えない。


曖昧に笑った雅は、大きく息を吸い、ゆっくり吐き出すと、真っ直ぐ顔を上げた。



混乱して落ち込んだ所で、何も変わりはしない。

雅は笑顔を作ると、加奈子と田鹿の手を取った。



「きっと、迷惑かけるから…忘れて」


せめて、皆が噂に飽きるまで。

須藤雅と宇田川友典は、いつも一緒にいるね、と話が軽くなるくらいまで。


それが、付き合ってるんだって、と言った類の話でも、もうきっと構わないんだ、と。

そう、思った。