たぶん恋、きっと愛



教室の隅に、田鹿と、加奈子と、雅。


田鹿も加奈子も、実際に見たわけではない。

だが、朝一番にクラスメイトに聞かされた話は、少なからず衝撃的だった。



「昨日、宇田川先輩が雅を送って行ったじゃない?」


3人で、ひそひそと額を寄せ合うようにして、加奈子が囁く。


「その後だと思うんだけど…」


学校に戻って来て、各部活練り歩いて…噂の詳細を…聞いて回ったって。


と加奈子が口をつぐめば、後を引き取るように、田鹿が珍しく真剣な顔で口を開いた。



「…須藤が妊娠、とか口走ろうもんなら…」

無言で髪の毛掴んで…床に叩きつけて…踏みにじったって…



消えそうな語尾に、雅の意識も遠退きそうになる。



「…なんて事…を……」


そんな事を行く先々でやったのだろうか。


それでこんなにも視線を逸らされているのか。