「…おはようございます」
翌朝、凱司の言ったように、友典は校門に寄り掛かるように、そこにいた。
「おはようございます、友典さん。お待たせしました…ので…少し提案なんですが」
困ったように微笑した雅が、周りを見回し、友典に内緒話があるかのように、小さく手招きをした。
「あたし、もう少し早く出て、友典さんちに毎朝行きます」
なにも立って待ってなくていいと思うんです、と、雅は囁く。
「一緒に登校、とか…どうですか?」
ひそひそと囁かれた声に、顔を上げ、近くで笑う雅から、目を背けた。
「そうしていいですか?」
「……」
「…そうしますね」
笑顔できっぱり言い切れば、友典は、一瞬戸惑ったような目を向けて。
小さく、だが堅く、頭を下げた。

