たぶん恋、きっと愛



「明後日の土曜、雅はライブ行くんだったな。日曜は宇田川んちに挨拶行くんだから日付変わる前に帰って来いよ?」

「…はい」


まだ何か考えていそうに生返事をした雅の頬を、凱司の左手がつねる。



「…諦めろ」


薄墨の蛇が視界を過り、雅は急に、全てを受け入れざるを得ない事を飲み込んだ。

納得いかずに、ざわめいていた心の底に、薄墨の蛇がずっしりととぐろを巻き、雅の全てを絡めとる。


お前は俺のだ、と。



「…信頼、すれば……いいんですね」


凱司に関わっている以上、仕方のない事なのかも知れない。

そうあってはならない、と思ってはいても、自分が大事にされているのは解る。

凱司が大事にしているモノを守るのは、きっと彼にとっては必然なのだろう。


危険があるとか、ないとか。
個人的には嫌いだとか。


そんなことはきっと。
別次元な話、なのだ。