「雅ちゃん、まだ眠い?」
鷹野に覗き込まれ、雅は我に返った。
「あ、大丈夫。ちょっとぼんやりしてました」
鷹野の作ったパスタを食べ終わると、雅の買ってきたバーガーの入る余地は、無かった。
「これは明日の朝だな」
几帳面に紙袋の口を折り畳んだ凱司は、きれいになった皿を三枚重ねて立ち上がった。
鷹野も凱司も、自分の事も他人の事も、ついでにやればいい、というスタンスなのか、時に雅がぽっかり暇になる。
「…あたし、やりますよ?」
「下げるだけだ。お前は洗えばいい」
その事に対して、雅は時に不安になる。
自分がここに居ていいのは、家事をすることが条件だ。
「…お前、なんでそんなに顔に出るんだ……面倒な奴だな」
雅が、いたたまれない気になって落ち込んだのを目の端で捉えた凱司は、皿を水に浸けて戻って来ると、お前にしか出来ない事もあるだろ、と軽く頭に手を置いた。

