「あたし…もしかして、もっと撫でろ的な…事を……?」
「言ってたな」
「……っ」
頭を抱えて頬を染めた雅が、ごめんなさいごめんなさい、と繰り返す。
三皿に分けたパスタの平皿をいっぺんに運んできた鷹野は、そんな雅を愉しそうに見やり、皿を置くと、雅の手を取った。
「あったかい内に、食べよ?」
唐辛子をグレープシードオイルに放り込んで温め、刻んだトマトと、刻んだアンチョビを混ぜ込んだだけのパスタは、雅が来る前には、割と定番な夕食だった。
「アンチョビって食べたことない…けど、あの缶詰め、こう使うものなんですね」
「うん、苦手だったら他の作ってあげるから、とりあえず食べてみて」
雅をイスに座らせ、愉しそうに笑っている鷹野を見つめ、雅は。
昨夜から今朝までの、沈んだ色が鷹野の目から消えたことに安心して。
ふわりと、嬉しそうに、微笑んだ。

