「…ごめんなさい、もう、こんな時間…。手伝う」
ふるふると頭を振り、凱司を見上げた雅が、鷹野を振り返る。
「大丈夫。もう出来るよ。座ってて」
シンクに真っ白な湯気が上がり、手際よくオイルを絡めていく鷹野を、だんだん覚めていく頭で見つめ、雅は再び凱司を見上げた。
「…出来る奴がやれば良いだけの話だろ?」
「……何にも言ってないです」
「気になるなら、俺が居ない間に甘いもんでも作ってやれ」
だから、何にも言ってないのに、と雅は眉を下げ、ふと凱司の目を覗き込んだ。
「……居ない、間?」
「ああ。さっき言ったぞ。中国行かなきゃならねぇって」
「………中国!」
首を傾げた雅が、あれ、夢じゃなかったんだ!? と目を見開き、慌てて目を逸らせた。

