結局、雅が起きたのは、それから30分余りが過ぎた頃だった。
凱司の呑むウォッカの瓶が、キッチンに出たまま、鷹野がパスタを茹でていた。
「ああ、ちょうど良かった。いま起こしに行こうと思ってたんだ」
「…あたし、やらなきゃ…」
寝惚けたまま出てきたのか、ふらりと壁に腕をぶつけ、反動で逆によろめく。
「ちょっ…凱! 雅ちゃん掴まえといて! 危ない」
トマトを刻むナイフを持ったまま、鷹野が支えようと手を伸ばしかけ、慌てて引いた。
「あっぶね…」
「なにしてんだよ。雅、こっち来てろ」
無言で頷いた雅が、ぼんやりと鷹野の背中に、もたれかかった。
ぺたり、と背中に頬を付け、3秒で離れた雅は、固まった鷹野を見ないまま、真っ直ぐ凱司の傍に行くと、足元に座り込んだ。
「鷹野の匂いだけだったか」
「ん」
下手な誘惑すんじゃねぇって言っただろ。
見ろ。面白いくらいに固まったじゃねぇか。
と、凱司は、足元の雅の頭をひっぱたいて、笑った。

