「…だっ…誰の子…」
「宇田川先輩に決まってるじゃん」
「朝、雅の荷物持ってたし」
「………合意の上じゃないって聞いたけど……大丈夫?」
そんな馬鹿な……と、思わず遠退きかけた意識を呼び戻したのは、来た!という嬌声とも悲鳴とも取れる、誰かの声だった。
「…あたし…帰る!」
いまここに、友典が現れるのは良くない。
慌ててバッグを拾った雅が、珍しく人を押し退け、強引に教室を飛び出した。
「……荷物」
「自分で持てます!」
泣き出しそうな目で、いきなり睨み付けた雅に、友典は黙って手を引っ込め、雅を追うように飛び出した加奈子を、避けた。
「ちょっ…雅!待ってよ!!」
足早に教室から離れようとする雅を、加奈子が追い、その後ろを友典が黙ってついていく。
更にその後ろ姿を、田鹿が茫然と見送り、慌てて追いかけた。

