「あっ、あのね、友典さん怖くないよ?」
呆れられた事は解るのか、取り繕うように言葉を重ねた雅に、教室の中からも、驚きと好奇の目が向けられている。
ひそひそと耳に入るのは、宇田川先輩と須藤雅は付き合っているのか、という、おおよそ雅にとって不穏な事ばかりだった。
宇田川先輩のこと“友典さん”だって。
夏休みに付き合いだした?
え、柳井先輩はどうなったの?
でも宇田川先輩かっこいいよね。
うん、でもなんか怖そう。
そういえば指、怪我してたけど喧嘩かなあ。
「…友典さん…モテるんだ…」
いつにも増して遠巻きにされた雅は、笑っていいのか沈んでいいのか決めかねたまま、何をどうしたらいいのか考えていた。
「兄妹…とか…あんまり言ったら駄目って宇田川さん言ってたし」
蝶の模様のついたシャープペンシルを転がし、雅は。
そういえば英語の作文、今日提出だったよね、と、凱司に書いてもらったものを写しただけの紙を取り出して、眺めた。

