友典は。
困ったように見上げ、小走りでついて来る雅をちらりと見ると、表情を変えることなく、歩く速度を落とした。
「…寝不足、ですか」
「敬語、嫌です」
ぴく、と眉を跳ね上げた友典が、足を止める。
視線だけで雅を睨み付け、端を掴む雅の手を振り切るように、バッグを引っ張った。
「質問に…答えな」
再び歩き出した友典に怖じる事なく笑った雅は、再び自分のバッグの端を掴むと、並んで歩き出した。
「寝不足、しました」
「………」
もう雅を見なくなった友典が、きちんと雅のクラスの前で立ち止まった。
「……昼休みにまた」
「えっ、なんで…」
「……」
バッグを無言で渡し、雅を見ないまま踵を返した友典を茫然と。
その姿が角を曲がるまで見つめていた雅は、肩を叩かれて、我に返った。

