「……具合でも?」
「…え?」
向かい合って話す2人は、遠巻きに見られている。
気にはなるが、茶化して良いようには見えないし、かといって、揉めているようにも見えない。
「…元気が、違います」
「………なんで敬語ですか?」
青色のタイピンは、2年生の印。
雅の胸元のリボンの結び目に絡ませてある輪は、ピンク。
1年生だ。
「……荷物を」
「荷物を?」
「……貸してください」
「だからなんで敬語ですか?」
ぴく、と苛ついたように眉を上げた友典が、右手を雅のバッグに伸ばした。
「いいから……貸せ」
宇田川友典が、1年生の女の子に絡んでる、と小さく聞こえはしたが、友典はアルマーニのフラップショルダーを取り上げると、周りをじろりと睨んだ。
「…あの…ひとりで持っていけます…」
そのまま踵を返した友典が、1年生の棟に足を向けたのを見た雅は、慌ててそのバッグを掴んだ。

