たぶん恋、きっと愛



昨日と同じ道で、学校まで来た雅は、ひどくぼんやりしていた。


朝方、ベランダで熟睡していたようだが、基本的に寝ていない。

加えて、頭痛薬を飲んだのだ。




「…眠たい」


ふらふらと教室まで行こうと歩き出すが、バッグがやたら重く感じる。

今、加奈子のハイテンションに当てられたら、魂抜けそう、などと思っていれば、ただ立っていた誰かに、ぶつかった。



「あ、…ごめんなさい」


うつむき加減で謝ると、目についた青色のタイピン。

顔を上げれば、固い表情の男子生徒が、目を逸らせた。



「…大丈夫…ですか」

「あ、………指!! 大丈夫でしたか!?」


黒い短い髪は、整髪料で立たせてある。

顔立ちは、やっぱり父に似て甘さがあるが、父と違って笑顔を浮かべない。

誰かを待っていたのか、壁に寄りかかっている、宇田川友典。



「……こんなの」

「だって、爪が……」


包帯の巻かれた、左手の指を隠すように背に回した友典が、目を逸らせ、壁から背を離した。