「…鷹野さん、お腹怪我してるのに…大丈夫なんですか…?」
「だから腹筋は免除したろ」
「でも…150回とか…朝からやる数じゃない…」
「そうか?」
耐えきれなくなったのか、火を止めると、雅は鷹野に近寄った。
「…ごめんね?」
「だっ…い…じょうぶ…っ」
75を数えた辺りで明らかにペースが落ち、100を越えて床に汗が落ちた。
130を越えた今、細いと思っていた鷹野の腕に、意外と筋肉がついているのを見た雅は、思わずいつものように指を伸ばした。
「ちょっ…みっ…待っ…!!」
筋肉に沿って指先を肘から上に向かって滑らせ、袖の中に僅かに侵入した。
「待っ…ああっ…」
……くすぐったかった、のだろう。
力の抜けそうな右腕を支えようと左腕に負担がかかった。
「…………っ!!」
「やり直し。は酷か。あと50」
「増えた!?」
「雅はこっち来てろ。邪魔してんじゃねぇ」
うつ伏せに崩れ、顔も髪も床につけたまま、息を切らせた鷹野は、ショックを受けたようにおろおろする雅を見上げて、堪えきれずに、笑った。

