出さなかったの? と訊かれるとは思わなかった。
ただでさえ勝手に自己嫌悪に陥って、心配かけたのに。
そんなにがっついただろうか。重ね重ね恥ずかしい。
鷹野は、切れた着信を確認すると、すぐにかけなおした。
雅を、左腕に引き寄せたまま。
「ああ、ごめん、風呂入ってた。……うん、帰ってるよ。つーか何処にいんの」
え、怪我?
と眉をひそめた鷹野を、とたんに不安そうな目で見上げた雅の髪を撫でた。
「…は? ドアに挟んだ? 友典が?」
どんだけ勢いよく挟まったんだよ……と、苦笑した鷹野に、雅の表情も少し緩む。
「うん、お大事にって言っといて」
耳から携帯を離した鷹野を見上げ、雅は小首を傾げた。
「友典、知ってたっけ?」
「うん、同じ学校でした」
「……マジで!?」
今日は学校に宇田川さんが来てて、宇田川さんと友典さんと凱司さんと4人でゴハン食べたんですよ、と。
そう言った雅が、プリンが美味しかったので今度一緒に行きましょう、と、鷹野の鎖骨の下にある、細い黒い刺青に指を触れ、にこりと笑った。

